TJシルバーワークス プロフィール

TJ Siver Works代表
東条“TJ”直樹

TJ SILVERWORKS代表であり現代のシルバースミスのひとり。
自分のブランドを「スカル専門シルバーブランド」と切言するほど「スカル」をモチーフとしたシルバージュエリーにこだわり抜き、BIKER'S SCENEにおいて確固たる姿勢を守り続けている。


他のシルバーブランドと異なるのは「外注には一切出さず、最初から最後まですべて彼の手作りで完成させる」ということ。つまり一般的な銀細工は、デザインを決めワックスで原型製作を行った後は専門業者に委託する。しかし彼、TJは本来なら専門業者が量産する工程さえ自分の手で行う。工房で銀製品の鋳造作業を繰り返しているアーティストは、彼以外にはほとんどいないと言っていい。


「万人に向けて作っているわけではない。より多くの人に使ってもらいたいという気持ちよりも、少数でもいいから長く使い続けてもらいたいという気持ちの方が圧倒的に強い」
マスプロダクトに対して恐れず堂々と中指を突き立てるスピリットと、その立ち位置が表れた作品群は、多くの愛好家から強い支持を受けている。
また、彼の愛車である1997年式Harley-Davidsonヘリテイジは、走り垢にまみれてとても味わい深い。

 

                            Harley-Davidson Life magazine "VIBES"
                                       編集長 植村みのる

                                                     [TJ Silver Works]
                                                                   〒359-1151 埼玉県所沢市若狭4-2493-26
                                                                   TEL:04-2949-9798

 

 

 

ロックとガイコツの指輪と

スカルリングを始めて意識的に目にしたのは、当然ながらローリング・ストーンズのギターリスト、キース・リチャーズの指に付いていたものだった。もっと詳しく述べるのなら1981年アリゾナのスタジアムで行われたライブが映画となって日本にもやって来たのだ。10代も終わろうとしている頃に、スクリーンに映し出されるストーンズに夢中になって、ほぼ毎日観に行くのだが、その映画の中でキースの指にスカルリングを見つけたのだ。

フェンダーのテレキャスターはオープンチューニングで独自のノリで弾く姿は最高にカッコ良かった。なんで俺はテレキャスを持っていないのだろう。なんで俺はこんなにも気持ちの良さそうなステージに立てないのだろう。何故誰も俺の才能に気付かないのだろう。映画の中でギターを弾くキースはまるで自己嫌悪を突き付けてくる凶暴な存在でもあり、それでも一瞬たりとも目の離せないようなスーパースターだった。
そのギターを弾く指にリングが。当時は「スカル」なんて言葉はまだなかったと思う。
「見たかあのガイコツの指輪」そうあのリングのカッコ良さを称えていた。

若き俺には、というかほとんどの昭和生まれの日本男児には指輪を付ける、なんていう習慣はなかったが、それでもあの「ガイコツの指輪」は欲しかった。けれど今のようにネットで検索もできるはずもなく、ましてやアクセサリーを扱う店に入る勇気などあるはずもなく、ガイコツの指輪への道は果てしなく遠かった。
 それからしばらく、人生初の指輪は結婚指輪だったけれど、それすらもたいして長くもない時間で外してしまうと、ガイコツの指輪に出会うこともなく歳月は流れていく。

気が付くとバイカーがリングを付け始めていた。シルバーというものにバイカーを夢中にさせる何かがあるようで、シルバーブームがやって来たのだ。
ピアスだけはしていた俺は知り合いのハーレーショップのオーナーがしていたピアスがカッコ良くて「それどこで買ったの?」と聞くとシルバーの棒を曲げただけだとのこと。だからペンチがないと外せない。その潔さがカッコ良いと思っていたら「これあげますよ」とシルバーの棒を貰った。それが初めてのシルバー。いつでも流行に乗れないというのがパターンで、それは何も「流行りなんてかんけーねーぜ」とかではなく、出来ることならバイカー関係あたりで流行っているものには乗りたいという考えであったのだが、いつでもそれに乗り遅れるだけなのだ。

そんなだからガイコツがいつの間にか「スカル」なんて言う名前に変わり、周りのバイカーがちょこちょこと付け出していた。「おいおい、待ってくれよ君たち」またしても出遅れた俺は心の中でそう思った。 君たちはロックもろくにしらないでスカルとはね。はぁーだから困るんだよ。君たちだってストラトとテレキャスの差も、ファイヤーバードとエクスプローラーの差だって分からないんだろう。それがなんだい、スカルリング付けてればロックです、みたいな顔をしてるんじゃない。困るんだよ。 そう。流行には乗りたいが乗れないと「MH5」マジでひがむ5秒前。正真正銘の子供体質なのだ。ましてや相変わらずの貧乏生活で3万円もするリングなど買えるはずもなかった。
そんな道端の石ころを蹴飛ばしていた40歳を過ぎた頃に出会ったのがTJだったのだ。あろうことかこの男「スカル専門」などと言っているのである。
どれどれ。本当に分かっているのか。くらいの気持ちでミーティングで出店していたTJシルバーワークスを覗いてみたのだ。
なるほどね、まあ悪くはないね。でもね、スカルとはイコールロックなのだよ。なんだかタトゥー入れて長髪だけど、この男もロックなんて知らないんだろうな。
「いやー昔聴きましたよローリングストーンズでしょう。あれ、なんだっけあの歌。あれ好きだったんだよな、ほら、あれ。ああ、そうだ『ジャンピングファクション』」などと言い出す予感がぷんぷんするのだ。
「ギターですか昔弾いてましたよ。やっぱりグレッチでしょ、グレッチのレスポール。あれ持ってたんですよ」なんて救いようのない墓穴を掘りそうな顔をしているのだ。

あっ。言っとくと俺はロック創成期から80年代くらいまではオタクなほどのロック好きなので、そうそう音楽話を全開で出来る相手がいないんですね。一部のストーンズ限定とかなら俺よりも詳しいやつは沢山いるんですよ。ブライアンが死んだのは何年で、その後のハイドパークライブが何年で、とかの人はかなりいますよね。
でもね、ハイドパークで登場したミック・テイラーのギターリフについてとか、ロイヤルアルバートホールで演奏したクリームのフェアウエルコンサートでのクラプトンの335でのプレイの奇跡的なカッコ良さとか、ディープ・パープルの「メイド・イン・ジャパン」がいかに名盤でその中でも「レイジー」がいかに名曲で、それなくて後のプログレなんて語れないとか、それらをまとめた会話が出来るバイカーに出会ったことがないので。

だがTJ。見かけだけではなくなかなかのロック小僧で本気なギター小僧。最近ではバンド活動で知られてきたが、俺が知り合った頃には今のように店でギターを弾くこともなかったのだ。それが音楽の話になるとなかなかどうして面白い。
「こやつ、なかなかやるな」ということになり、こいつの作るスカルリングならしてみたい、ということになって行ったのだ。

ストーンズの映像を観てから20年以上が過ぎ、やっと俺の指にもガイコツの指輪がつくようになったのだ。
まあ時間はかかりはしたが、良いモノに出会えたのだからそれでよしではないか。


             written by 大森茂幸

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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